マタイの福音書27章11~26節

そのころ、バラバ・イエスという、名の知れた囚人が捕え
られていた。それで、人々が集まったとき、ピラトは言っ
た。「おまえたちはだれを釈放してほしいのか。バラバ・
イエスか、それともキリストと呼ばれているイエスか。」
…そこでピラトは彼らのためにバラバを釈放し、イエスは
むちで打ってから、十字架につけるために引き渡した。
         マタイ27章16-17、26節(p.60、61) 

序 論)ゲツセマネの祈りの後、主イエスは、真夜中に、
当時の宗教指導者たちが送り出した人たちに捕縛されま
した。(26章47~56節) 主はすぐに大祭司による裁判の場
に引き出されました。大祭司は主に、神に対する冒瀆罪を
宣言します。(26章57~68節) 夜明けとともに正式に議
会(サンヘドリン)が招集されました。(27章1節)
 その後、主イエスはローマ総督ピラトのもとに引き渡さ
れます。(27章2節) 主イエスに対して、ピラトや民衆が
したことは…

本 論)
1、総督ピラトのもとで
 ピラトの「あなたはユダヤ人の王なのか。」という質問
は、サンヘドリンからの告発(ルカ福音書23章2節p169)
に基づくものでした。(11)
 主イエスは、「あなたがそう言っています。」と答えら
れます。(11)
 ピラトは主イエスの言動を見聞きし、この人にはローマ
法で裁くような社会的・政治的な罪はなく、背後に宗教的
理由や祭司長たちのねたみがあることに気づきました。
 (12-14)
    彼は、祭りのときに囚人の一人を釈放するという慣習を
用いて主イエスを釈放しようとします。(15-17)
 「バラバ・イエス」(16)は、「暴動で人殺しをした暴徒
たち」の一人でした。(マルコ福音書15章7節p.102)
 ピラトの妻は、夢の中で主イエスが正しい人であること
を知り、主を断罪することに関与しないようにと願いまし
た。(19)

2、扇動される群衆、釈放されるバラバ
 ユダヤの権力者たち(当時の宗教指導者たち)は、ピラト
が主イエスに対して同情的なのを見ました。それで民衆を
扇動し、バラバの方を釈放し、主イエスを死刑にすること
を要求するように働きかけました。(20)
    彼らの説得は成功し、民衆はバラバの解放だけでなく、
主イエスの十字架刑を要求しました。(21-22)
    ピラトは何とかイエス様を釈放しようとしましたが
 (23)、結局、群衆の声に屈してしまいました。(24)
もし、自分の任地で暴動が起これば、自らの失政の責任を
ローマ当局から問われることになります。ピラトはそれを
恐れました。
 最後に群衆の見ている所で手を洗ったのは、主イエスの
処刑が自らの意志に反することを示すためでした。(24)
 責任を逃れようとするピラトと対照的に群衆は、責任は
自分たちが負うと言いました。(25)
 その結果、バラバは釈放され、主イエスはむち打たれて
十字架刑に処するために引き渡されました。
 後年、ピラトは失脚して僻地に送られたと言われています。
 このときから、約40年後、AD70年にローマ軍により
神殿は破壊され、ユダヤの民は各地に散らされてしまうこ
とになります。

結 論)主イエスへのねたみに駆られた宗教指導者たち、彼
らに扇動されてしまう民衆、自己保身に走るピラトなど、
彼らを通して示される人間の罪によって主イエスは十字架
にかかられました。
 彼らの不当な扱いにも関わらず、主イエスは黙って十字
架に向かわれました。それは、神様の救いの計画を成し遂
げるためでした。主イエスの十字架によってその救いのみ
わざは成し遂げられたのです。
 「
使徒信条」の中に「…ポンテオ・ピラトの苦しみを受
け」とピラトの名が挙げられています。そのことによって、
主イエスの十字架刑が歴史的事実であることが示されてい
ます。そして、ピラトはすべての人の代表でもあります。
 そして、主イエスの身代わりによって釈放されたバラバ
もすべての人を象徴している人物です。主イエスは、バラ
バだけでなく、すべての人が受けるべき罪の罰を身代わり
に受けてくださったのです。それによって、私たちの罪は
赦されたのです。
 「バラバか、キリストか」というピラトの問いかけは、
「バラバ(地上の利益を約束する人間や偶像)に従って生き
るか」それとも「神の御子、キリスト(救い主)・イエスを
信じ、従って生きるか」を私たちに問いかけている言葉で
もあります。

(参考)

 小説『バラバ』ラーゲルクヴィスト(1891-1974)作
 (スウェーデンの小説家、1951年ノーベル文学賞受賞)

 

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